ヒサカキの花の香り

それを嗅ぐと私は不整脈になる。
子供の頃、天井裏でネズミが死んでいたことがあって、
そのときちょうど、仏壇でヒサカキが咲いていて、
私はずっと、ヒサカキの花の香りを、ネズミの死体の匂いだと思っていました。
そして、本当にそうかもしれない。
だって、ネズミの死体の匂いは、いまだに知らないです。
この花の匂いを嗅ぐと、不整脈になって、
具合が悪くなって、なにか、不機嫌になって、
何か、もう、どうでもいいような気がする。
ヒサカキの花の匂いを嗅ぐと、夜更けにコンビニに、
第三のビールを買いに行って、飲みすぎて、
具合が悪い。
桜が咲く前に、ヒサカキが咲いて、
ヒサカキの花の香りが夜のしじまに満ちる頃、
ちょっと、コンビニに行ってきます。