「災害は忘れた頃にやってくる」

この言葉は、
災害を忘れぬように、
常日頃から備えておくようにという、
戒めの言葉でしょうが、
それはそれで大切なことですが、
考えようによっては、
どんな災害でさえ、
人はいつか忘れてしまうものだと、
読めないこともないです。

ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「家族の肖像」には、
「人間は忘れることができる。あの子は若すぎてまだそれに気づかなかったけれど。私は忘れてみせる。あの子を忘れるわ!」
というセリフがあって(記憶で書いているので、正確ではありません)、そうだったのか、と思いましたが、
高校の英語の先生は、
「暗記は簡単です。忘れるほうがずっと難しい。この10個の英単語を明日までに覚えてきなさい、と言ったら、何人か覚えてくるでしょうが、10個の英単語を明日までに忘れてきなさい、と言ったら、そんなことは誰にもできないでしょう」
と言っていましたが。

津波の被害にあった家に帰って住んでいる人が結構いるそうですが、誰も好き好んで帰ったわけでもないんでしょうが、人間誰だって、安全なほうがいいに決まっていますが、人間誰だっていつどこでどんな災難にあって命を落とすか分からないものであり、だからと言ってビクビク心配ばかりしているんではなく、平気で笑ったりして生きているものです。

いつ割れてもおかしくない薄氷の上で、
氷の下の暗くて冷たい水のことは、
知っていても忘れていて、
ドンドンしたりするんです。

忘れるなら忘れてもいいんじゃないのか。
みんな、永遠とか、長生きとかに価値を見出しすぎてるんじゃないのか。

(こんなこと書いて、いいのかな)