明日は日食

日食ってことは新月ですよね。明日は旧暦5月1日のようです。

明日は自分は休みなので、朝出かけて昼頃帰ってきて、ビール飲んで夕方には寝てるかもしれないが、ちょっと眠たいのを我慢して日食の写真を撮りたいなと思っています。

明日は部分日食ですが、日食というと泉鏡花の「婦系図」を思います。

婦系図」は「湯島の白梅」という歌謡曲でも知られていて、多くの人が名前を知ってると思いますが、読んでる人は少ないんじゃないか? 恐ろしい話です。

三島由紀夫泉鏡花について(明治以降の小説家の中でただ一人の天才かもしれない)と書いてるんですよね。

婦系図」ですが、イタリアからマニアが皆既日食に備え早々と日本にやって来ている、という話です。飛行機がない時代で船で来るんだから、早めに来るんでしょうが、早々と来ていて、そういう日食マニアがいるということを、泉鏡花は知っていて、書いたんでしょうね。

婦系図」ですが、冷静に読むと話のつじつまはあってないと思いますが、新聞小説だったそうで、あの、まとめて読んでも分かりにくい話を、毎日ちょっとずつ読まされた新聞読者は、翻弄されただろう。

婦系図」のクライマックスは、皆既日食で暗くなった久能山で、とてつもない惨劇が起こる。

最後に、遺書が3通あったというんですが、その遺書が書かれてないんですよ。

この惨劇を引き起こした娘さんにあてた遺書があるはずなんですが、それが書かれてないんです。

泉鏡花の天才をもってしても書けなかったようで、そういう意味で、小説は未完だと思いますが、自分は、日食のたびに、泉鏡花を思って、公表されてない遺書について思いを巡らします。

「湯島の白梅」という歌謡曲は、「婦系図」のすさまじさを伝えてなくて、「婦系図」について、誤った印象を与えていると思います。