太宰治の人間四っ角

自分は三島由紀夫の小説が好きなので、三島好きとしては三島が嫌いな太宰を好きになってはいけないと思うんですが、実際好きじゃないですが、太宰って人気あるし、何なんだろう? ということはよく考えます。

人間失格」ですが、太宰の中でも一番人気なんじゃないかと思うんですが、この小説の中に(醜いものを、さも美しいもののように書くことはできないだろうか?)ということが書いてありますが、これがこの小説の核心だと思います。

 

太宰は人間失格の主人公を醜い人間だと思っていて、この醜い人間をさも美しいもののように書けば、世間の大多数の醜い人間が、(醜い自分のことを、こんなにこぎれいに書いてくれて、うれしいよ! 太宰よありがとう!!)と大喜びで、これで皆を幸せにできるし、自分も小説が売れたらうれしいし、ってことかと思うんですよ。

その後、小説というジャンルはすたれましたが、ポップミュージックに太宰は受け継がれていると思います。

サボテンの花」それから、ブルーハーツの「情熱の赤いバラ」この二曲は太宰を上手に踏襲したと思います。

でも自分は、この聴き手や読み手をある意味ばかにしてるようなやり方はどうかなあと思います。

サボテンの花ですが、洗濯係として便利に使ってた女が妊娠して赤ん坊の手袋を編み始めたので言いがかりをつけて追い出して、あいつが帰ってくる前に引っ越して行方をくらまそうという身もふたもない歌ですよね。

でも美しいメロディに乗せてこぎれいに歌われると流行るんですよ。