人間と差別

人間は木から降りた猿だというが、木の上の猿は木の上で食物を得ていた。木から降りた猿は食物のすべてを失った。生き延びるためには仲間の誰かを食べなければならない。何とか理由を見つけて、差別して、あいつは食べてもいいんだよ、そういうことにして、猿は人間になった。人間は差別の根拠(それはない!)をいつも探している。それが文明を作り出した。人間は得られるはずのないものを得ようとする傲慢の欲望にとりつかれたんです。それが文明を産んだんですが、その文明が人間が人間を食べなくてもいいようにしてくれたんだから、人間はもう差別をしなくても生きていけるんだということに気付いて、差別をやめるべきです。私は、人間が差別をして誰かを食べて、そうしなければ生き延びられないという状況におちいらされたということが悲しい。人間の文明の根底にこの悲しみが敷き詰められている。人間が仲間の誰かを食べなければ皆が死ぬという状況で、差別は必要でした。そしてもう差別は必要なくなったんですが、誰かを差別して誰かを食べたということから、逃れられなくて、誰かを差別して食べたという罪から逃れたくて、差別を正当化するために差別を続けてるんですよ。
 
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